ティオの腕の中で、ぬくもりを感じながらまどろむ朝。
「……ふふっ、くすぐったいです……」
ルシフェリアが小さく笑う。
ティオは後ろから抱きしめたまま、うなじや肩に軽くキスを落としながら、頬をすり寄せてくる。
「だって、柔らかくて……つい触れたくなるんだもん」
「……もう、ティオ様ったら……」
彼が研究室に行くまでのほんのひと時を名残惜しむように、二人で過ごす。
「ティオ様っていつもあったかくて、触れられてると気持ちいいんですよね」
「……確かに、いつも手熱いかも」
「そうそう……しかも、よく汗かくからそれがまた、えっちなんですよね~!色気がすごくて!」
「もう……何の話……」
ティオは少し不服そうに呟きながら、私の髪の毛を優しく撫でる。
(そういえば……昨日も結局攻めるつもりが、ティオ様に攻められっぱなしだったな……)
愛しさに満たされたその時間の中で――ルシフェリアがぽつりと口を開いた。
「……昨日の、ティオ様がしてくれた、舐めるやつ……」
「……んぇっ?」
あまりにも急な話題に、ティオの口から間の抜けた声が漏れた。
「その……すっごく、気持ちよかったから……」
恥ずかしそうに頬を染めつつ、けれどまっすぐにティオを見つめる。
「私も……ティオ様にやってみようかな、って……」
「ちょ、ちょっと待って!?」
ティオの声がひときわ裏返る。
寝起きのぬくもりは一瞬で吹き飛び、ティオの体がこわばっているのを感じた。
「し、しなくていいよ!? そんなこと……っ」
「……興味あったんです。前から」
「だめ……っ!」
唇を尖らせながら、ちらりと後ろから抱きしめているティオを見上げる。
「だって……私ばっかり気持ちよくされてるから、不公平じゃないですか。私だって、ティオ様を気持ちよくしてみたい」
「っ……もう、ルシ……」
ティオの喉が、つぅっと動く。
真っ赤になった頬を手で隠すようにしながら、情けないほど狼狽している。
「私が読んだものの中ではですね……女の子が舐めてたりするの、けっこうありましたし……だめですか……?」
「……ルシ……そんな顔で、そんなこと言わないで……気持ちは嬉しいけど、しなくていいよ……」
ゆっくりと髪の毛にキスが落ちる。
「……あの、じゃあとりあえず……」
もじもじと、視線をティオの下腹部へちらりと向ける。
「……ちょっと、見てみてもいいですか?」
「……えっ、だめ……!」
ティオが慌てて隠すようにシーツを引き上げると、ルシフェリアはじとーっとした視線を送った。
「昨日あんなに私の見たのにっ……!」
「いや、それは……僕にも心の準備いるし……!」
ティオの声が裏返る中――ルシフェリアはふっと笑った。
「見せてもらえないなら……勝手に見ます」
「えっ」
ティオの抗議を完全に無視して、ばっと起き上がるとシーツの中へ――手早くズボンの紐を緩める。
「ちょ、ルシ、まっ……まってって……!」
「……わっ」
下ろされたズボンの先、既に反応していたティオのモノが露わになる。
思ったより――いや、想像以上に、堂々としていた。
「…………」
「…………っっっっ!!!!」
ルシフェリアはその場でびくっと肩を震わせ――そして。
ごろん。
無言でそのまま、ベッドにうつ伏せに寝ころんだ。
「ルシ!?」
「……っ……ご、ごめんなさい……あまりにも実物がすごくて……ひるみました……」
「ひるんだ!?」
ティオは動揺しながらも、自分でズボンを戻して下半身を隠す。
「そんなに……だった?……ルシが勝手にみるから……っ」
「……初めてまじまじと見るから……迫力が……」
うつ伏せのままぽそっと呟くルシフェリアの背中を、ティオは顔真っ赤にして見つめながら――
そのまま彼女に覆い被さるように、そっと囁いた。
「……ねぇ、もう……イジワル、やめてよ」
「えっ……私、何もしてないですよ?」
「充分してるから……」
額をこつんと当てて、ティオが小さく笑う。
「……あの……」
うつ伏せになったまま、ルシフェリアがぼそっとつぶやく。
「……その……やっぱり、今日は今からティオ様仕事だし……見るだけで……お腹いっぱいっていうか……」
ティオは何も言わず、ただ黙ってルシの頭を優しく撫でていた。
「……で、でもっ……!今度、ちゃんと……心の準備ができたら……私からも、していいですか?」
真っ赤な顔でそう言って、そっとティオの目を見つめた。
「…………!」
ティオの目が見開かれる。
そして、少しだけ肩の力が抜けたように――優しく微笑んだ。
「……うん、じゃあ覚えてたらね」
それだけ言って、私が被っているシーツをそっとめくって「朝の準備しよっか」と微笑んだ。
優しい声だったけど、でも明らかに、本気で受け止めきれていない“照れと動揺”が滲んでいる。
(……そのうち飽きて忘れると思ってるんだろうけど、絶対忘れるもんか……!見慣れたら行けるはず……ティオ様覚悟してて……!)


