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10話 原作終了のその先に――待っていたのはまさかの…!?

原作終了のその先に――待っていたのはまさかの…!? ティオ ルシフェリア 原作終了のその先に――待っていたのはまさかの…!? TL小説に転生した腐女子は推し様を攻めたい!



ルシフェリアは自室で、原作でティオが出るシーンだけを抜粋し、全ページ挿絵付きで手書きした聖典・改を抱きしめ、ぼろぼろと涙を流していた。


「ああああああああ……ついにあの伝説のシーンが来るのね……」

”原作最終話”を、何百回、何千回と読み返してきた。

初めて読んだ時は衝撃で一晩眠れなかったし、二度目に読んだときは過呼吸で倒れかけた。

そして今日――

その“伝説の回”が、現実として起こる。


あれからーーティオ様と会わなくなってから少し経った。
私は毎日のように”今日”を想像して枕を濡らしていた。


「……ルシフェリアお嬢様。そんなに毎日泣いて……本当に、どうかなさったんですか?」

「うっ……セシル、それも今日で終わりよ。心配かけてごめんね」



そう、今日はレオン様の結婚式であり、原作の最終回。


自分が想いをよせる人の結婚式に参列する、だなんてそんな辛いことがあるだろうか?



(ティオ様と会うと、ティオ様を応援したくなっちゃうから距離置いたのに……想像だけで辛すぎて泣いちゃう……)



原作ではティオ様はこの日、髪を切った姿で現れる。

呪いが解けたら長い髪の毛を切ろうと決めてて、結婚式の前に髪の毛を短くして参列する。



「呪いが解けたら切るって……あれはつまり、レオン様に想いを残さないってことじゃない……っ!」


そう、今日は”レオン様への想いをティオ様が断ち切る日”

「結婚式が終わる頃に、研究室に甘いもの届けて慰めてあげよう」



***


そうして研究室の扉を開けた瞬間、ルシフェリアの視界に飛び込んできたのは――
式服に身を包んだティオ様。
だけど、短くなった髪の毛が、光を受けてふわりと揺れていた。

「あっ……」

その瞬間、張り詰めていた何かがぷつんと切れて、ルシフェリアの目から大粒の涙がこぼれた。

「……ルシフェリア?」

「ううっ……」


泣きながら駆け寄り、ティオの胸に飛び込む。

ティオは驚きながらも、そっと腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。


(そ、そんなに……僕に、会いたかったのか……?)


やっと少しだけ涙が落ち着いた頃、ルシフェリアは顔を上げて微笑んだ。

「……短い髪も、素敵です。」

そう言って、体を離すとそっとお菓子の包みを差し出した。

「よく頑張りましたね」

「……? なにが?」

「好きな人の結婚式に出るなんて、そんな辛いことないですよね。でもその想いを髪の毛と共に断ち切って、無事乗り越えたティオ様のことを……本当に、誇らしく思います」

「……………」

ティオの眉がぴくりと動く。

「……ねぇ君、僕、何回もレオンのことは“友達”って言ってるよね?」

「強がらなくても、いいんです。今日くらいは……涙、流しても……」

「……ルシフェリア。もしかして、君が距離を置くって言ってたの、このこと関係ある?」

「?はい……。レオン様とティオ様が結ばれないのは原作で決まってるのに、私は、応援して原作を壊してしまいそうだったから……」

ティオが、肩を震わせた。

怒っているというよりも―― 
もう、どう言えば伝わるのか分からない。 
そんな苛立ちが、こめかみの奥でじわじわと滲んでいる。

「……何回、“違う”って言ったら、わかってくれるの?」

「え……?」

そこで、ティオは深く息を吐いた。 
まっすぐにじっとこちらを見つめ――

「僕が好きなのは……」

ゆっくりと、言葉を選ぶように。 
その目は、真剣だった。 
ふざけている様子も、茶化す気配も、一切ない。

「――君なんだけど」


その言葉が落ちた瞬間、世界が静止した。

「………………へ?」

全く処理が追い付かず、固まってしまった。


「……バカ、ルシフェリア」


彼はそう言うともう一度ゆっくりと私を抱きしめた。
さっきよりも少し強く。


「……ティオ様?」

「君に会えない間、僕がどれだけ君の事恋しかったと思う?」

「え……?」

「それなのに、ずっと僕とレオンのこと応援して。……髪も邪魔だから切っただけだし。」


ぴったりとくっついたティオの肌から、どきどきと心臓の音が伝わってくる。


(ティオ様、すごくどきどきしてる。え、本当に……?ティオ様が……私のこと……?)


「研究に集中しようとしても、ふとした瞬間に思い出すのは君のことばかりで……。会えない間も早く君に会いたいって、毎日思ってたんだけど。」


ティオはゆっくりと体を離すと私の目を見つめた。


(え、待って……?何でそんな熱い目で見て来るの……?)


その瞳は、いつものからかい混じりのものではなかった。
真剣で、熱を孕んでいて――少しだけ、怖いくらいにまっすぐだった。

「僕、結構アピールしてたつもりなんだけど。……手を握ったり抱きしめるだけじゃ全く伝わらないってこと?」

「え?……ほ、本当に私のこと……?レオン様じゃなくて……?」

「そうだよ。」



抱きしめられた腕の感触がまだ残っているのに、視線だけで心を捕まれてしまいそうで、息が浅くなる。
この人は、たぶん本気で私を欲しがってる――そう思った瞬間、胸が苦しくなった。



「ねぇ、どうやったら僕の事、好きになってくれる?」



私がまだ呆然としているのを見て、ティオはふっと口元を緩めた。

「……君が僕のこと、好きになるまで……毎日会いに行ってもいい?」

「えっ……」



いたずらっぽく笑うその瞳に、また胸がぎゅっと締め付けられた。


「鈍感すぎてわからないみたいだからさ。……本気でアピールするから、覚悟してね?」

囁くように言って、ティオは額に唇を落とした。

「~~~~~っ!?」

(……一体どういうこと…………!?レオン様のことが好きなんじゃなかったのっ!?)


(……これ、まさか――)

ーー原作終わったと思ったら、推しが私ルートに突入してきたみたいなんですけど!?!?


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